林檎という物体は、聖書や美術史において重要なモチーフとして扱われてきたり、現代では某企業のアイコンマークとして扱われてきたりと、私たちの日常の中から思想の中にまでさまざまな形で象徴的に扱われてきた。
しかし、実物を見ながらキャンバスに油彩で描くという古典的な手法を用いて2017年に始まった西川の《林檎像》シリーズでは、林檎を象徴的に扱うのでもなく食用として実用的に扱うのでもなく、それらによって覆われた複数の意味を排除しただありのままの像を描いていくことを試みている。目の前に林檎を置き、1つのキャンバスに1つの林檎のみを描き、実在する林檎の境界面をじっと見つめながら刻み込む。それは概念的に固定化された林檎のフォルムと個として実在する無骨な林檎の輪郭の対比、そして何枚も繰り返し描かれていくことで浮かび上がる差異によって確かな手触りが生まれてくることだろう。
本展覧会では2017年から続いている《林檎像》シリーズの最新作展となる。今回初の発表となるインスタレーション作品、立体作品、2024年内に制作されたキャンバス作品、2022年取り組んだガラス絵作品の4つの角度から構成される。新しい展開となるインスタレーション作品では、電球の光がタネとなり絵画上に反射し、描かれている像の境界面をなぞるように点灯していく。
4つの角度から見せられる無垢な林檎の像によって、実在と隣り合う静かな会話が繰り広げられることを待ち望んでいる。
西川由里子
1996年生まれ、現在東京都在住
2018年日本大学芸術学部美術学科卒業
2014年女子美術大学附属高等学校卒業
個展
2024年4月「視界は反復横跳び」GALLERY KTO 新宿(新宿)
2023年3月「空気の層」blues dress SHIBUYA(渋谷)
2023年1月「与えられた所在」GALLERY KTO 原宿(神宮前)
2022年8月「じっ、と見つめて」BLANK(高円寺)
2022年5月「カーテンを開けて」BD gallery(名古屋)
2022年2月「Stripe,Spectrum!」MAKII MASARU FINE ARTS(浅草橋)
2021年7月「のっぺらの実」MAKII MASARU FINE ARTS(浅草橋)
2021年3月「今日もどこかで」ギャルリー東京ユマニテbis(京橋)
2020年9月「ある日のこと」MAKII MASARU FINE ARTS(浅草橋)
2017年9月「まぶたの奥 ひとみの手前」H-gallery(所沢)
【主なグループ展】
2024年8月「SUMMER VACATION ART 100」伊勢丹立川店(立川)
2024年6月「Movement -Vol.2-」Artglorieux GALLERY OF TOKYO(銀座)
2023年11月「Christmas Art 100」伊勢丹立川店(立川)
2023年2月「SIGNS OF A NEW CULTURE vol.11」Artglorieux GALLERY OF TOKYO(銀座)
2022年10月「第3回 octogone展」あかね画廊(銀座)
2022年9月「〜油彩特集〜 Observation」月ノ出画廊(青山)
2022年6月 「Art Studio NEAF グループ展」代官山 UPSTAIRS GALLERY(代官山)
2021年10月「第2回 octogone展」あかね画廊(銀座)
2021年6月「-未来を担うアーティストたち- セフィーロ展Ⅶ 」小田急百貨店新宿店美術画廊 (新宿)
2021年4月「neo・マチ絵ール展 -絵肌研究室-」松坂屋上野店 美術画廊(上野)
2020年10月「萱アートコンペ2020」ギャラリー酛蔵(千曲市)
2020年8月「Small Paintings」GALLERY IRO(吉祥寺)
2019年5月「安島茜×西川由里子 すべての日々は光のなかで」OGUMAG(田端)
2018年2月「日本大学芸術学部 選抜展」ギャラリー絵夢(新宿)
2018年2月「第41回東京五美術大学連合・卒業修了制作展」国立新美術館(六本木)
2017年5月「三つの脈」A&Dギャラリー(江古田)
2014年3月「女子美スタイル2013『超少女』」東京都美術館(上野)
【アートフェア】
2024年10月「ART TAIPEI 2024」台北ワールドトレードセンター(台湾・台北)
2024年10月「ART365 大丸梅田店」大丸梅田店(大阪)
2024年9月「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2024」福岡国際センター(博多)
2024年7月「D-art, ART2024 札幌店」大丸札幌店(札幌)
2024年3月「アートフェア東京 2024」東京国際フォーラム ロビーギャラリー(丸の内)
2023年10月「artKYOTO 2023」元離宮二条城 二の丸御殿台所(京都)
2023年9月「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2023」マリンメッセ福岡 B館(博多)
2023年6月「Affordable Art Fair Shanghai」Shanghai Exhibition Centre(中国・上海)
2023年3月「アートフェア東京 2023」東京国際フォーラム ロビーギャラリー(丸の内)
2022年9月「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2022」ホテルオークラ福岡(博多)